借金返済サイト
現実と非現実の間にあるような怖い話を紹介。
今回は「借金返済サイト」というお話。
これはつい最近、埼玉で起きた話だ。俺の周りにはあまりオカルトを信じる奴はいないけど、この出来事だけは今も誰にも話せないでいる。あの日、初夏の陽気で空気が重く、窓の外からは球場の歓声が微かに響いていた。俺は、とある事情で毎日終電ギリギリまで働き詰めの上、200万の借金を背負い込んでいた。焦っても仕方ないと分かってはいたが、心のどこかで奇跡を願っていた。あの晩返済督促の電話を切った後、スマホに知らない番号から着信があったんだ。留守電を聞くと、低い女の声で「返せます、今すぐ」という妙なメッセージが入っていた。
借金返済のため、怪しい広告にも手を出しかけていた俺が、その番号にネット経由で検索をかけるのはほとんど無意識だった。ヒットしたのは「オンラインカジノで借金ゼロ!」という胡散臭いサイトだったが、レビュー欄は「絶対勝てる」「昨日借金が消えた」というコメントで満ちていた。俺はとうとう、怖いもの見たさで登録フォームに自分の個人情報を入力してしまった。それからしばらくして、知らない「関係者」と名乗る男からLINEが来た。「招待金が今なら出る」「特別ルームが使える」と、やけに親しげな文面。俺は半信半疑で誘導されたページに入り、何も考えず『開始』のボタンを押した。
何もおかしいとは思わなかった、最初は。ただ、部屋でパソコンを開いていると、球場からの歓声が突然止んだ気がした。いつもの夜なら、少しは人の声や遠くの電車の音が響くはずなのに、やけに静かだった。画面の中で、スロットが勝手に回り始めて、今まで一度も見たことがないような真っ赤な目玉の絵柄が揃うたび、どこかで何かが壊れるような音が響く。部屋の照明も、なぜか次第に暗くなっていった。
更に奇妙だったのは、画面の隅に「西武球場」と表示されたこと。操作もしていないのに、ベット額が1回目でとうてい考えられないほどの大金になり、毛穴が開くような嫌な汗が浮かんだ。急にディスプレイが暗転し、「制裁金」という単語と“あなたを見ています”という警告文。その瞬間、背中越しに誰かの視線を感じた。振り返っても部屋には自分しかいない。でも間違いなく、俺の背後、窓の外、あるいはパソコンの画面の奥から、複数の目がこちらをじっと見ている感覚。
「いますぐ返済。いますぐ制裁」。女の声がスピーカーから聞こえてきた。鼓膜の内側を撫でるようなその声に、思わず叫びそうになった。画面には球場の観客席を映した不鮮明な映像が浮かび、無数の顔がノイズまじりに笑っている。中に混じって、明らかに人間とは思えない歪んだ顔――どこかで見覚えがある気がする、だが名前は絶対に浮かばない。眉毛の位置や口元が、やけに変わっていた。
瞬間、部屋が一瞬真っ赤に染まり、後ろで観客の「喝采」と思われる声が耳元で爆発した。そのまま意識が飛びそうになった時、「あなたはすでに送検されました」という通知が画面いっぱいに表示された。
翌朝、パソコンは何事もなかったように普通の壁紙に戻っていた。でも、画面の中央に「制裁済」の小さなアイコンが一つ残っていた。どんなに削除しようとしても消えない。借金取りの電話も、催促も、あれ以来なぜか一切来なくなった。だが球場で事件があったのをニュースで知った夜から、窓の外で「喝采」が時々聞こえる。俺のスマホにも、時々同じ番号から発信がある――留守電を開くと、やっぱりあの女の声が「今すぐ返せます」とだけ囁いている。
もう、球場の歓声は一生聞きたくない。
#借金 #オンラインカジノ #制裁
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