【新宿】闇金の残響-歌舞伎町に潜む金融の裏構造・1999-2010年

1990年代末から2000年代にかけて、バブル崩壊後の金融不安と雇用崩壊が広がる中で、歌舞伎町では闇金融が夜の血流のように広がっていった。短期融資・即日貸付をうたい、無担保・無保証で現金を渡す業者たちは、風俗店やホストクラブの裏で金を回し、若者たちを借金の連鎖に巻き込んだ。

当時、貸金業規制法の改正(2006年)以前は、上限金利が実質40%を超えるグレーゾーン金利が黙認されていた。多くの業者はこの法の隙を突き、法外な利息と暴力的な取り立てを常態化させた。特にホストやキャバ嬢は売上保証や衣装代の名目で借金を重ね、返済不能に陥ると、別の業者から再び金を借りる自転車操業に追い込まれた。

警察の摘発や法改正で一時的に衰退したものの、闇金業者は紹介屋やソフト闇金と名を変え、SNSや掲示板を通じて再び拡散していく。2008年のリーマンショック以降、非正規労働者やナイトワーク従事者の資金難を狙った新型闇金が台頭した。貸付は小口化し、LINEやメールで取引が完結する仕組みが登場したことにより、摘発を逃れやすくなった。

社会的背景には、金融緩和政策の裏で進行した貧困層の拡大がある。都市の片隅で、人間関係を担保に貸し借りを繰り返す構造が、歌舞伎町の裏経済を支えてきた。夜の街の表層が浄化されても、闇金の影は消えない。それは制度が見捨てた人々の、最後の信用取引の形だからだ。

現代でも闇金融の手口は進化を続けている。SNS上の即金バイト、個人融資の名を借りた勧誘、仮想通貨や電子送金を用いた匿名貸付など、形を変えた搾取は続く。歌舞伎町の路地裏に残るその影は、資本主義の最下層に息づくもうひとつの金融史を物語っている。

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